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乳がんの疫学の最新動向

乳がん罹患率(パート1)

わが国では、死亡と異なり、がん罹患率や生存率など、罹患に関するデータを国として系統的に把握する仕組みがありません。罹患率を推定するためには、ある集団を設定し、その集団で一定期間に発生した罹患数を把握する必要があり、これを実現するためには地域がん登録が不可欠です。地域がん登録は、がん対策の立案と評価や、がん医療の向上のために世界の多くの国や地域で行われており、日本では、1950年代に宮城県、広島市、長崎市で開始されました。次いで1960年代に大阪府、愛知県などで始められ、2011年11月時点で、日本では45道府県および1市で地域がん登録事業が実施されています。

わが国では、全国規模での地域がん登録が行われていないため、一定の精度基準を満たした10数県の地域がん登録のデータに基づき、全国推計値を算出することで国レベルのがんの罹患状況を把握しています。1975~1994年の全国がん罹患推定は、厚生労働省がん研究助成金による「地域がん登録精度向上と活用に関する研究」班が、1995年以降の推計は、厚生労働科学研究費補助金第3次対がん総合戦略研究事業「がん罹患・死亡動向の実態把握の研究」班で罹患データを収集し、国立がん研究センターがん対策情報センターで報告書としてまとめて公表を行っています。集計結果は、前述のがん情報サービスホームページの「集計表のダウンロード」で公開されています。各地域からのデータ提出と集計作業に時間がかかるため、公表時期は罹患年より5~6年遅れとなっています。2012年1月現在、全国がん罹患推計の最新年は2006年です。