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乳がんの疫学の最新動向

おわりに

これまでみてきたように、わが国における乳がんの動向は、罹患数、死亡数ともにいまだ一貫した増加傾向にあります。

乳がん検診については、40歳以上の女性全員に対してマンモグラフィーが推奨されています。しかし、国民生活基礎調査に基づく国立がん研究センターがん対策情報センターの推計によると、2010年の乳がん検診受診率は24.3%であり、2007年のがん対策推進基本計画の個別目標であるがん検診受診率50%以上の半分にも達しません*4。早期発見による乳がん死亡率減少のために、推奨に基づいた乳がん検診の受診を全員が受診することが重要です。

また、乳がんリスクファクターとして、乳がん家族歴やBRCA1、BRCA2遺伝子などの遺伝的素因、初経や閉経に関する内分泌環境因子、出産や授乳など社会環境とともに、生活環境要因として、肥満や身体活動、アルコール摂取などが明らかになっています。生活環境要因は、自ら行動変容できる要因であるので、予防に用いることが可能です。十分なエビデンスがあるものは多くはありませんが、まずは利用可能なエビデンスの中から、他の疾患への影響も含め、リスクとベネフィットを考慮して予防行動につなげていくことが必要です。

乳がんの増加に早急に対応するために、現状での最善策として、国民ひとりひとりが乳がんのリスクを知り、それぞれが予防行動をとるとともに、推奨に基づいた乳がん検診を受診すること、そしてその普及や実行を社会が支援していくことが重要です。