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コホート研究は、ケース・コントロール研究と並ぶ疫学の代表的な研究方法です。

疫学とは、人間集団を対象に健康に関わる要因を明らかにする学問です。たとえば、初経年齢が早い人、出産経験のない人、初産年齢の遅い人、閉経年齢の遅い人などは乳がんになりやすい人と言われていますが、このような要因は疫学研究によって明らかになったものです。以下、乳がんを例にこれらの手法を紹介します。

ケース・コントロール研究は、乳がん患者さんをケース群、年齢などの条件を同じに揃えたがんをもたない人をコントロール群として、初経年齢など乳がんとの関連が疑われる要因について調査し、2群の間で比較するものです。この方法は調査期間が比較的短く、結果が早くわかるという利点がありますが、一方で適切なコントロール群の設定が難しいこと、過去に遡って要因を調べることに伴いさまざまな偏りが入り込む可能性が高いこと、などが問題となります。

コホート研究は、はじめにがんをもたない健康な人々の集団に対して、初経年齢など乳がんとの関連が疑われる要因について調査し、初経年齢の早い人々と遅い人々との間で、その後に乳がんになった人の人数を比較するものです。これは、一般に大規模な集団を長期にわたって調査する必要がありますが、要因についての調査をした後にがんの発症を把握するという方法であるため、ケース・コントロール研究よりも偏りが入りにくい、比較的信頼性の高い方法とされています。

またコホート研究では、がんの発症に関連する要因の研究だけでなく、調査集団をがん患者さんに、乳がんの発症をがんの再発やQOL(クオリティオブライフ、生活の質)に置き換えることで、どのような人が再発しにくいのか、またQOLが高いのかといったことも検討できます。

このように、研究方法によって一長一短はありますが、疫学研究からのエビデンスが蓄積することによって、乳がんの発症や再発を予防したり、乳がん患者さんのQOLを高めたりするためにはどうすればよいか、ということが明らかになります。