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Alcohol Consumption and Breast Cancer Recurrence and Survival Among Women With Early-Stage Breast Cancer: The Life After Cancer Epidemiology Study. Kwan ML, Kushi LH, Weltzien E, Tam EK, Castillo A, Sweeney C, Caan BJ, J Clin Oncol. 2010 Aug 30.
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カイザーパーマネンテ北カリフォルニア癌登録およびユタ癌登録に登録された乳がん患者さんを対象としたコホート研究において、1997年から2002年の間に病期1から3aの乳がんと診断された女性2,269人を対象に、診断から平均2年経過した時点でアンケート調査により飲酒状況を評価し、その後の乳がん死亡、再発、全死亡リスクとの関連を検討しました。

飲酒状況に回答した1,987人について、アルコール摂取量を基準に、飲まない(1日0.5g以下)、1日0.6gから6g未満、1日6g以上の3群にわけ、飲まない女性を基準にリスクを計算しました。

2009年9月までの追跡期間中に、乳がん死亡は154人、再発は293人、全死亡は273人でした。

その結果、1日6g以上の群では乳がん再発リスクが1.35倍、乳がん死亡リスクが1.51倍と、統計学的も有意なリスク上昇が見られました。この関連は、特に閉経後女性、過体重および肥満女性の間で顕著でした。一方、全死亡リスクおよび乳がん以外の死亡リスクとの間には関連は見られませんでした。

アルコール摂取と乳がん患者さんの再発・予後との関連を見た研究は、まだ数が少なく、結果も一致していません。今回の研究は、先行研究のなかでも比較的規模の大きい研究で、アルコール摂取による乳がん再発および死亡リスクの上昇が示唆されました。

今回の結果は、アルコール摂取が乳がんの確実なリスク要因として国際的に評価されていることに一致するものです。アルコールはエストロゲンレベルやその作用に影響することで乳がんリスク上昇に関連することが示唆されています。

アルコールの乳がん再発・予後への影響を明らかにするために、さらに大規模な前向き研究の結果の蓄積が必要です。

(岩崎 基)