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乳がんのリスクファクター

生活環境因子(2)

2. 食事、体格、肥満、身体活動

食事に関して確立されたリスクファクターは、現在のところアルコール摂取のみです。アルコール摂取が乳がんのリスクファクターであることは、閉経前後を問わずすべての年齢において「確実」です。穀類や食物繊維、野菜と果物、大豆、乳製品、脂質、糖類、ビタミン、イソフラボンなどが注目され、乳がんとの関連が検討されてきましたが、これらに関しては全般的に「証拠不十分(Limited-no conclusion)」です。脂肪摂取については、閉経後乳がんのリスクであることが「可能性あり」とされています。

体格については、成人期の身長の高さが乳がんのリスクになることは、WCRF/AICRの閉経後乳がんにおいては「確実」、閉経前乳がんにおいても「ほぼ確実」です。また、出生時の高体重が、閉経前乳がんのリスクであることは「ほぼ確実」とされています。体脂肪(肥満)が閉経後乳がんのリスクであることは「確実」であり、一方で、体脂肪(肥満)が、閉経前乳がんにおいては予防的な効果をもつことも「ほぼ確実」です。

身体活動量が多いと乳がんリスクが低減することは、閉経後乳がんに関しては、WCRF/AICRでは「ほぼ確実」であり、閉経前乳がんに関してはWCRF/AICR、日本人のレビュー結果とも「可能性あり(Limited-suggestive)」です。身体活動については、月経・排卵周期や内因性ホルモンレベルへの影響を介したメカニズムも考えられていますが、身体活動を行うことによって体脂肪の増加や体重の増加、閉経後の肥満が予防され、結果として乳がんのリスク低下に関連していると考えられています。

生活環境要因は、自分で行動変容できる要因であるため、予防に用いることが可能です。十分なエビデンスがあるものは多くはないですが、乳がんの増加に早急に対応するために、利用可能なエビデンスのなかで、他の疾患への影響も含め、リスクとベネフィットを考慮して予防行動につなげるべきと考えます。