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乳がんの経過(再発、死亡など)に関するリスクファクター

現時点での推奨

現時点で、食事や栄養、身体活動などの要因とがんの経過(再発、死亡など)との関連は、研究が最も進んでいる乳がんについてすら、ほとんどわかっていません(詳しくは「生活環境因子」をご参照ください)。

エビデンスを作り出すための研究が現在進められていますが、十分なエビデンスがないなかでも、何か生活のなかでできることをしたいと思われる患者さんは少なくないと思います。そこでご紹介したいのが、米国対がん協会2012年ガイドライン[4]で現時点で推奨されている以下の3点です。

  • 健康的な体重へ減量し、その体重を維持しましょう。
    1. 過体重や肥満の場合は、高カロリーの食物や飲料を制限し、減量するために運動量を増やしましょう。
  • 定期的に運動しましょう。
    1. 運動不足を避けましょう。そして、診断後もなるべく早く通常の日常生活を取り戻しましょう。
    2. 1週間に150分以上運動することを目標としましょう。
    3. 1週間のうち2日以上は筋力トレーニングを運動の中に含めましょう。
  • 野菜、果物、全粒穀物を多く含む食事パターンにしましょう。
    1. 「がん予防のための栄養と運動に関する米国対がん協会ガイドライン」に従いましょう。

日本人についても、肥満の防止や身体活動を増やすことなど、乳がんの経過の改善のために効果のありそうなものが少しずつ明らかになってきてはいます。ですが、日本人では米国に比べ肥満が少ないことや、減量や身体活動を過度に行った場合に悪い影響が出る可能性もあるので、無理な我慢や極端な行動はお勧めできません。

また、最後の「がん予防のための栄養と運動に関する米国対がん協会ガイドライン[5]に従いましょう」については、この内容も考慮した上で日本人のための検討が行われている「がん予防のための推奨」を参考にすることをお勧めします。「がん予防のための推奨」は、がん患者さんに特化したものではなく、がんに罹患していない人ががんになることを予防するための推奨ですが、一度がんにかかった人は、リスクファクターが重複しているものもあるため、他のがんにかかる可能性が高いと考えられています。また、同じ臓器に新たにがんが発症するのを防ぐためにも、「がん予防のための推奨」を実践することが大切です。

ここでご紹介してきたエビデンスは、食事や栄養、身体活動など生活環境因子とがんの経過(再発、死亡など)との関連を検討したものであり、QOLの改善やがん罹患による症状の緩和は評価されていません。症状にあわせた日々の過ごし方については、国立がん研究センターなどが作成に関わった書籍[6][7]を参考にしたり、医療機関のスタッフ(医師、看護師、栄養士など)にお気軽にご相談ください。